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タイ恋愛道場
IT'S THE SHOW TIME!―イ●ラム系に気をつけろ
政治、経済、ビジネス、あらゆる分野、領域でその力を垣間見せる中華系タイ人。元々は出稼ぎ一派、タイ周辺の貧しい国々の出身であるラオス系タイ人、カンボジア系タイ人。
そして、タイ王国に魅せられたタイ陥没組、欧米人の父親とタイ人の母親を持つファラン系タイ人。タイには、様々な人種、系統の人々が母国を離れ移り住んでいる。

我が同胞、日本人もご多分に漏れず、その中のひとりなのだが、そんな中、彼らの住む世界とは全く逸脱した世界観を持つ人種の人々も、ここタイには存在している。それが、イ●ラム系タイ人である。

近年の世界情勢を見ても分かる通り、「イラク戦争」、「イラム過激派…」、「ジハード(聖戦)」などなど。ニュースに登場してくるイラム教徒を物語る言葉というのは、恐ろしくウンザリするようなイメージのものが多い。

ボクは、モ●リムでもないし、クリスチャンでもないので、彼らの思想に関しては、全くと言っていいほど無知である。個人の宗教にどうこう言うつもりも毛頭ない。ただ、ここタイでも彼らは、独自の思想と観念の元、ひっそりと、そして時には大胆に日々の生活を繰り返していた。
これは、あるイ●ラム系タイ人女性と、アメリカ人男性の恋物語である。


クリス(仮名=29歳)。
母国アメリカで、実業家の父親を持つ彼は、29歳という歳にして、いまだ無職の身。一人息子のため、ゆくゆくは親の会社を引き継ぐことは確約されていることもあり、経営学の専門校に通うかたわら、世界の国々を旅行したり、いろんなビジネスに挑戦して失敗したりと、彼は、とにかく親のすねまるかじりの堕落した人生を送っていた。そして、そんな誰もが羨むような生活を繰り返すクリスだったが、ある国に降り立ったことが彼の人生を大きく変えた。

微笑みの国タイランド。

誰がいつそう呼ぶようになったのかは知らないが、たいていのガイドブックには、親切、丁寧、スマイル、礼儀正しいというような表現が、タイ人を称する言葉として書かれている。

しかし、一般の旅行者達には、決して踏み入ることの出来ない領域、世界があるのも確か。偽りの国タイランドと言えば、タイ政府から国外追放されそうだから言わないが、とにかく、タイにはまだまだ裏の素顔は多く存在する。そして、旅行者の一人であったクリスは、初めてのタイで、その片鱗を垣間見ることになったのだった。


知人からタイでの女性遊びについて、かねてからよく話しを聞いていたクリスは、ある年、初めての訪タイをした。裸で繰り広げられるダンスショー、怪しげな目線を送ってくる女たち、艶かしい腰つき、色目、抱擁、キスの嵐、、、クリスは、初めて入ったバンコクのGOGOバーで、すでにタイの虜と化していた。

元々、親の金で遊び、贅沢をしてきた人種のクリス。やはり夜遊びも手馴れたもので、毎晩のように酒を浴び、女を買い、常夏の国での魅惑の日々を楽しんでいた。


しかし、バンコク滞在も一ヶ月が過ぎると、だいたいの定番スポットにも飽きが来ていた。クリスは、バンコクから程近いビーチリゾート、パタヤへと足を運んだ。冴え渡るブルースカイ、そしてその青空を反映したかのように、淡いブルーの絨毯で敷き詰められたパタヤビーチ…。と言えば、大げさになるが、、、とにかく、クリスは、バンコクとは違う開放的な空間に魅力を感じた。

街の南北に渡り広がる海、何十と林立するGOGOバー、そしてバービアのネオン群。海、酒、女、、、誰もがそうであるように、クリスが、パタヤの持つ魔力にはまるのにそう時間はかからなかった。


毎晩、酒に溺れ、女を買い漁っていたクリスだったが、彼には宿泊しているホテルの前に、行きつけのバービアがあった。
「これ、私の娘なの。今バンコクの大学に通い、経営学の勉強をしているんだけど…」。ある晩、クリスは店のママさんから、娘を紹介された。

ニット(仮名=21歳)。
黒褐色の肌、流れるロングヘアー、すらりと伸びた手足とは相反するふくよかな胸、お尻。そして、子顔からはみ出しそうなクリクリとした大きな瞳に意志の強そうなまゆ、筋の通った鼻。。
「ママに、こんな綺麗な娘がいたのっ…」。明らかにその辺にいる売春婦とは、全てが違っていた。

「パタヤには、毎週遊びに来るの?」「今度、一緒に食事に行こう」。
クリスは、それから毎晩のようにママのバービアに足を運び、娘の情報を聞いては、彼女が週末パタヤに来ると彼女を誘い、いろんな場所へと連れまわした。。


パタヤを訪れる欧米人、年老いたばかりのファランと違い、クリスはまだ29歳。
色男の部類に入る甘いマスクと、精錬された身なり、、ニットが彼に好意を抱くのは当然のことのように思われた。
しかし、この恋物語に、仕掛けがあることなど、もちろん、クリスには知る由もなかった…。



ニットは大学が長期休暇に入ると、そのほとんどをママがいるパタヤで過ごすようになった。クリスは、それをきっかけにパタヤ郊外に位置するコンドミニアムに住居を移し、ニットを自分の住まいへと誘った。
ママもクリスとの交際には大賛成で、二人は毎日のほぼ全ての時間を共有した。親の金で遊びに呆ける時間にもとうに飽きが来ていた。クリスは、常夏の島でのつつましい甘い生活に心を満たしていた。

しかし、滞在期間が3ヶ月も過ぎると、親からの帰国命令の連絡が多くなった。クリスは、「すぐに戻ってくるから」とニットとの約束を交わすと、一時アメリカへと帰国の途についた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「愛してる…」。「早く戻ってきて…」。「もう我慢できない…」。
毎日の国際電話、海の向こうからは愛するニットのいとおしい声。アメリカに帰ってからもクリスの心は常夏の国での想い出でいっぱいだった。

「お父さん、ボク、タイで何かビジネスをしようと思っているんだけど…」。「んっ!何をバカなことを。海外でのビジネスがそう簡単に上手くいくと思っているのか!(怒)」。「今回は本気だから…。タイにはビジネスチャンスがごろごろ転がっているんだ。ボクを信じて。。」。

クリスは、父親を何とか言いくるめ、父親が経営するコンピュター関係の事業展開調査と称して、再びタイを訪れた。だが、もちろんその目的は、愛するニットのため他ならなかったが…。  


タイに戻ると、クリスは、自分の生い立ち、現在の自分の状況、タイでのビジネスの話など、全てをニットに話した。すると、待ってましたと言わんばかりに、ママが横から話しに割って入って来た。

「パタヤでは、絶対ショービジネスが一番よ。
どこにもないエンターテイメントを兼ねた施設を作れば流行ること間違いないわ。ちょうど、ニット(娘)も経営学を勉強していることだし…」。遊びしか得意分野のないクリスを言いくるめることは、ママにとって朝飯前だった。

「ダメよ、ママ。まだ私にはそんなの手伝う力なんてないわヨ。ねえ、クリス、ママの話なんて聞かないで」。一方のニットは、クリスとのビジネスを頑なに拒否した。
異国の地で、外国人がビジネスを始めることはもちろん容易なことではない。土地購入、就労ビザ、現地雇用者管理といった問題のほか、タイには警察、マフィアの縄張り問題も、併せて存在する。

しかし、クリスの頭には、タイにいる理由。タイで何かをする必要があった。


クリスは、アメリカにいる父親と連絡をとり、うまく話をまとめるとある程度のまとまったお金を借りつけた。「今、ちょうど知り合いのやっていたGOGOバーが売りに出されているの」。ママからの提案により、クリスは既存の店を改装し、洒落た雰囲気のいい、ミュージックバーを作ることにした。
もちろん、そこには、若くて綺麗なウエイトレスを配置。中には持ち出し可能な子も用意した。

「海沿いに面した好立地」。「粋な空間」。「おいしいカクテルが飲める」。
そして「若い女の子がたくさんいる・・」と来れば、店が流行らないはずはなかった。父親には、コンピューター関係のビジネスと偽っていたが、毎月、クリスの元には、ある程度の売り上げが転がってきた。

「そのうち、本当のことを言えば、パパも分かってくれるさ…」。クリスの顔は、緩みっぱなしだった。。

一方、当初は共同ビジネスを嫌がっていたニットも、毎週末になると、仕事を手伝いにパタヤへと駆けつけてくれた。クリスの頭の中には、すでに、常夏の島での甘い生活のほか、考えることはなかった。


しかし、半年も経ち、ビジネスがうまく軌道に乗り出すと、クリスの周りには、様々な問題が浮上してきた。。ある日、自分の店に来ていた欧米人客が泥酔し、店先にいたタイ人男性に絡んだのが、その始まりだった。
もみ合いのケンカになったが、クリスの店は、セキュリティーも雇っていたため、事はほどなく収まった。。クリスは、ママから言われて、セキュリティーのほか、警察へお守り代として、月々1万バーツを収めていたのだ。

「私たちには、知り合いのビッグポリスがついているからどんな問題が起きても大丈夫!」。。ママは、あっけらかんとしていたが、クリスは、ようやく華やいだバービジネスの経営が、甘くないことを感じ始めていた。


そして、それからというものの、店内でのトラブルは絶えなかった。「女の子は勝手に店を休む」。「客から、女の子のサービスが悪いと文句が入る」。「女の子と客がケンカをする」。。そんな頭の痛い日々が続いていた、ある日、最悪の事件が勃発した。

店を閉め、ニットと共に家路につく途中のことであった。二人の前に現れたのは、一人のタイ人男性だった。。ニットは、彼を見ると、幾分狼狽したような表情を浮かべた。「誰だこいつ!ニット知ってる男なのか?」。タイ人男は、タイ語で、何やらニットへとまくし立て始めた。明らかにうろたえた表情のニット。

「シット!お前、誰だヨ。どっか行けよ!!(怒)」。クリスの手が、彼に出かかった時、ニットがそれを制した。「やめて!クリス。彼、私の前の彼氏なの・・。もうあなたと出会って、半年以上も会っていなかったんだけど・・・」。。

「はぁっ!知らないよ、そんなの。でもこいつ、俺にケンカ売ってんじゃないのか?」。。「お願い。私は、いま、彼(クリス)と付き合っているの。。お願いだから、もう私たちの前に姿を現さないで・・」。。ニットは、タイ人男に懇願した。。そして、男は、その日、おとなしく二人の前から姿を消した・・・。


しかし、、それからというものの、クリスは、昼間、街に出かけたとき。店に出勤するとき。仕事を終え、家路に着くとき。何か自分が、誰かに尾行されているような気配を感じ始めていた。。

「誰かが俺をつけている」。「何だ、あのタイ人、俺のことジロジロ見やがって」。街で、タイ人とケンカ寸前になることもしばしばだった。それほど、クリスの精神状態はゆがみ始めてきていた。


ニットは、ママに相談した。。
「ママ、誰かが、毎日、私達をつけているような気がするの。もしかしたら私の前の彼氏が、逆恨みしているのかも…」。「分かった。あの人に相談してみるワ」。。ママは、知り合いの警察に事情を説明してくれた。

しかし、それを境に、あからさまな尾行が、クリスとニットの前には、繰り広げられるようになった。思ったとおり、その首謀者は、ニットの前彼氏だった。彼は、何人かのタイ人の仲間を連れ、クリスとニットの前へ何度となく現れた。しかし、彼は何をするでもなく、話しかけるでもなく、ただ、二人の前に現れるだけであった。

「なんだ、またあいつ。俺らの周りをウロウロしやがって…」。しかし、ただ、いるというだけで、クリスは、ママの知り合いの警察にも相談のしようがなかった。


「ちょっと痛い目見させた方がいいわね」。
ママは、クリスに話を持ちかけた。ママは、ある程度のお金を出せば、裏のルートで彼らを懲らしめることが出来ると言った。ニットはもちろん反対したが、クリスは、その提案に大賛成だった。そして、ママに3万バーツのお金を支払った数日後、これまでの嫌がらせがウソのように、彼らはクリスの前に姿を現さなくなった。


しかし、ようやく気分も落ち着き始めたある晩のこと。
クリスが、仕事を終え、家に帰ると、家は、空き巣に入られていたのであった。「誰がこんなことを!(怒)、、なぜ。。」 セキュリティーは、夜間も含め24時間完備。空き巣、泥棒などには、決して入られるはずのない住宅地だったが、家内の金目の物は、全てきれいさっぱり持ち出されていた。

「あいつに違いない!(怒怒)」。
それから、クリスは狂ったように街を探索し始めた。。そして、数日後、彼は、ニットの前彼氏をようやく見つけ出した。

「てめぇ、お前がやったんだろ!ふざけやがって!」。クリスは、彼に殴りかかると、直ぐに二人はもみくちゃのケンカとなった。ほどなく、クリスとニットの前彼氏は連行された。


警察につくと、すぐにニットとママが現れた。。
「ほんと、急にいなくなったと思ったら、どうしたのクリス!」。クリスが、先に手を出したということだったが、ママが知り合いの警察に頼み込んでくれた為、クリスは、1万バーツの罰金で警察署から釈放された。


しかし、クリスは見てしまった。

警察署を出る際、ニットが、前彼氏にウインク(合図)を送っているところを・・・


クリスは、その一瞬で、全てを悟ってしまった。
ある時期を境に突如として増え始めたトラブル、なぜかどこにでも出没し、尾行するニットの前彼氏、そして、入られようもないはずの空き巣事件。全てが、繋がっていると考えるのは自然なことだった。

「なぜ・・・。本当なのか。ニットは俺を騙していたのか。俺に対する愛は、偽りだったのか…」。

クリスの心には、怒りを通り越して、、落胆の気持ちしかなかった。。ニットに真実を確かめたかったが、真実を知る勇気を、その時のクリスは持ち合わせていなかった。クリスは、「疲れたから当分、アメリカに戻る」と反対するニットを押しのけ、全てを投げ捨て、自国へと帰還した。



実際、クリスは、彼女ら一族の仕掛けるショーにはまってしまったのだった。ニット、そしてママには、決してクリスに知られてはならない裏の素顔があった。彼女らは、イ●ラム系タイ人一族だった。

ラムといえば、「何よりも血縁関係」
家族の和を最も大事にする民族である。そして、ニットもその一人だった。ニットは、いまだ男と繋がっていた。。これまでの店でのトラブル、前彼氏との一連の事件、空き巣、、全ては、裏で巧妙に仕掛けられた、クリスへの罠だった。。ニットが、クリスを愛していなかったと言えば、ウソになる。しかし、彼女は、ママの操り人形だった。イラム一族の間では、親の言うことは絶対だった。

「喜捨」
ラム教徒が、考える信仰のひとつであり、これは、「富めるものが貧しいものに財産をわけあたえること」。「貧しい者は豊かな者から恵んでもらって当然だ」という考えである。彼女ら一族にすれば、人を騙したとは思っていない。彼女らが考えるのは、「遊んでばかりのどうしようもない奴から、恵まれない我々が、お金を頂いた」。とひがみにも似た理由の元での行いなのである。


タイ南部に多く生息していると言われる、イラム系タイ人。
もちろん、その他の地域にも、彼ら一族は存在する。全てが、このような人種の人だとは思わないし、到底思いたくもない。ただ、イラム系が、今日もまた、どこかで何かを企んでいるような気がして、仕方がない・・・。


IT'S THE SHOW TIME!!今日もどこかで誰かが、彼らの仕掛けるショーに酔いしれている。

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