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諦めない男(前編) ―正論か性論か
これは、2006年ワールドカップ時期に、パタヤの歓楽街で実際に起こった何とも生々しい事件簿である。その日は、友人数人とともに、GOGOバー、バービアと飲み明け暮れており、ちょうど呼び込まれたバービアに入ったのは、もう深夜も3時を回った頃だろうか。酔いどれた体に、更に鞭打つべく、ドリンクをオーダーする。「ホェアー・ユー・カム・フロム?」という娘たちのお決まりの質問にも、ちょっとウンザリ気味である。


そこで、ママさんらしき中年の女性が、一同に加わり、矢継ぎ早やに質問を投げかけてきた。「ユー・コリアン・チャイマイ?(あなたたちは韓国人でしょ?)」。「チャイ、チャイ!(そう、そう)」。いつもの冗談、僕らは韓国人であるとウソをついた。
「チンチン?(本当?)」。なぜかとっても嬉しそうなママさんの表情。韓国人の彼氏でもいるのだろうか。それとも、昔、韓国に出稼ぎに行ったことでもあるのだろうか。


「じゃあ、何か韓国語を話してみてよ・・・」。半信半疑のママさんが、タイ語でまくし立ててくる。「アンニョンハセヨ~(こんにちわ)。カムサハムニダ~(ありがとう)」。知ってる限りの韓国語を陳列してみる。

「あっちに座っているのも韓国人よ・・・」。僕らが韓国人であると信じてしまったママさんは、僕らに、カウンターの3席隣に座る韓国人観光客と、会話をしてみてくれと促してきた。すっかり酔いどれ気味の僕は、その韓国人に向って、「アンニョンハセヨ~(こんにちわ)」と国際交流の花を咲かせるべく、言葉を投げかけた。「$ёпЭ・・・・!(ハングル語)」。そして、無表情の彼からは、もちろん意味不明のハングル語の返答。しかも、ちょっぴり怒っているようにも見える。こっちをにらんでいるようにも見える。「・・・(汗)・・・なぜ?」。なんて愛想のないヤツなんだ!(微怒)。いや、でも実はそれには訳があった・・・。


そう、何を隠そう、この男こそが今回の事件を起こした張本人なのである。


もちろん、母国での徴兵を受けてきたであろう、ムキムキでがっしりとした体つき。全体的に角ばった顔つき、殴られてもOKですみたいなノリの丈夫そうでエラの張った四角いアゴ。開いているのか分からないほど思いっきり細い目、そして、表情はとっても無愛想。まさに、「私は韓国人です」とでも言っているような人物である。(偏見じゃありませんよ) 体格のいい体を覆うのは、「K-9」と背中に大きくプリントされたTシャツ。きっと「キムチ-9」の略なんだろう・・・(笑)。というわけで、彼のことは
「キム男」(推定年齢45歳)と命名することにしよう。


さて、ママさんに言われるまでは、まったく我々の視界にも入ってこなかった韓国人、キム男。すねた表情でカウンター席に腰を押し付け、ドリンクすら注文していない。それでも、彼が怒っているのには、理由があった。では、ここでママさんが我々に打ち明けてきた悲痛な悩みを、紐解いていこう。(仮想含む) 見た感じ、中々若くて可愛い女の子が揃うこのバービアに意気揚々として現れた韓国人、キム男。彼は、無愛想ながらも、自分の中では精一杯の笑顔で女の子たちに接し、あるレディを連れ出すことを決意する。


ペイバー(連れ出し料)300バーツ、そして彼女へのチップが1.500バーツ。で、交渉を仲介したママさんは、この見た目がとっても怪しい韓国人に対し、前払いすることを要求した。前払いとは言え、この時点で、すっかり頭の中は、ムンムンの助べえ空想にふけてしまっているキム男。計1.800バーツを店ですべて支払い、彼女と店を後にした。うむ、ここまでは、前払いという不自然な疑問は残るが、まあ、許そうとしよう。



さあ、ホテルに戻った二人。くつろぐ暇もなく、そそくさとシャワーを浴び、さっそく情事に入る。しかし、キム男のいやらしいエロエロ前儀攻撃にも何とか耐え、大人の準備を整えた彼女に、キム男から驚くべき行動がなされた。コンドーさんを準備する彼女に、装着することを頑なに拒否するキム男。その顔は、エロエロで、しかも野生の本能ムキ出しの恍惚とした表情である・・・(汗)。コンドーさんを着けないと無理だと訴える彼女。それを力で無理やりねじ伏せようとするキム男。格闘の末。怒った彼女は、もちろんホテルを飛び出した。この時点で、あなたならどうする?ここからキム男は自分が韓国人である所以を、まざまざと見せつけて来た。



怒ったキム男。再び店に登場!!



しかし、キム男は、タイ語はもちろんのこと、英語すらろくに喋れない。さきほどの交渉も、ママさんがノートとペンを使って話を進めた経緯もある・・・(汗)。「ЭЯдЙ・・・!!(ハングル語)」。通じもしないハングルで怒り狂い、叫び続けるキム男。全くアホである。そして、再びノートとペンを使い、ママさんが解釈したキム男の怒りの主張の内容とは・・・。「金返さんかいボケェ。俺は生が好きなんじゃい。それが悪いんかい!こうなったら、さっき払った金、全部まとめて返してもらうでぇ・・・(怒)」。という理不尽きわまるもの。


もちろん、店の時点で、二人の間で「ゴムなしOKよ♪」という項目の交渉はなされていない。しかも、彼女はホテルへと行き、キム男とのエロエロ前儀にも付き合っているのである。(卑猥な言葉ばかりでごめんなさい) 百歩譲って彼女へのチップは、キム男に返却したとしよう。それでも、ペイバー(連れ出し料)まで返せ!なんていうキム男。あんた、よくそこまで言えるよね。そんな低次元なレベルの問題で、断固として許さない的表情をくずさないキム男。何度も言うけど、この男、いやこのおっさん、アホです・・・(汗)。


そこで、我らパタヤの大将G氏が、ママさんの要望に応えるべく、さっそうと登場!英語の通じないキム男に対し、ノートとペンを片手に、キム男との再交渉開始。G氏の言い分は、「あんたもやることは途中までやっているんだから、女の子がキム男にチップ全額の内1.000バーツを返却して示談。もちろん連れ出したのは事実だからペイバー代は返さない・・・」というもの。ノートにペンを走らせ、金額やら記号やら絵を書き、幼児レベルの説明を始めるG氏。それに対し、あらゆる話にも全く耳を傾けないキム男。。早くも交渉決裂・・・(汗)。


そこへ電話で再び呼び出された、事件の当の本人(彼女)が、店に戻ってきた。キム男の全額返却せよ!主張にすでに怒り狂っている彼女は、それでも大人の対応を見せ、G氏に促された1.000バーツをキム男に返す。。一方、全額でないと受け取らないキム男。。再び交渉決裂・・・(汗)。そして、再び怒った彼女は、とっとと自分の家に帰ってしまった。正論をキム男に問いかけるママさん+バービアの面々。それに対し、幼児レベルの助べえ根性、理不尽きわまる性論で対抗するキム男。全くアホな光景である。


女性へのチップだけならまだしも、ペイバーすらも返せ!というキム男の理不尽主張にすっかり呆れ気味のママさんは、もう相手にしてられないとばかりに、ここでしかとを決め込むことにした。そして、ここから、キム男の韓国人特有のねっちり魂が、炸裂し始める。タイ語も英語も全く話せないキム男、ここからバービア篭城作戦を開始!!その恐るべき作戦の内容とは、、、もちろんドリンクなんて頼まない。ただカウンターに黙って居座り、相手を無言で威圧し続けるという何とも単純なものであった・・・(汗)。


「な、、なんて阿呆なんだ。このおっさんは・・・。あんたには世間への恥じらいってもんがないのかい?」。バカバカしいながらも、パタヤでは案外ありがちな問題に、苦笑するしかない我々だったが、、だが、他人目から見ても、このキム男のねっちり篭城作戦。薄気味悪いことこの上ない。だって顔のいかついおっさんが、ドリンクも頼まずに、ただただ何もせず、バーのカウンターにじっと不気味に座っているだけなんですよ。皆さんも、想像してみてください(苦笑)。



時刻は、すでに深夜4時を回っている。酒を片手に、店のレディたちとの談笑を繰り返す我々。一方、微動だにせず、ただただカウンター席に座り一点を見つめ続ける、仲間外れ状態のキム男。こんな状態が、しばらく続いた・・・。そして、キム男をよそに、談笑も架橋に入り、深夜5時を回った頃だった。



「ガ、ガタンッ・・・」。(一同、キム男のほうを振り返る)



突然の席を立ち上がる音に敏感に反応する我々。そう、ついにキム男が動いたのである。恐る恐る横目でキム男を観察する我々。「ついに、キム男もこの一同からのフルしかと状態に耐え切れず帰還。篭城作戦失敗か・・・」。そこにいた誰もが感じたことだった。しかし、席から堂々と立ち上がり、帰るかと思われたキム男が向った先は、、



トイレだった・・・(汗)



きっと我慢していたのだろう。。そして、用を足し、すっかり体の状態も万全のキム男は、再び元のカウンター席に戻り、無言威圧篭城作戦を、再び開始するのであった。。(汗) さあ、深夜6時近くになり、そろそろこのバービアでの戯言にも飽きた我々は、帰ることに・・・。あいかわらず、キム男は、我慢比べのようなマゾ状態を続けているが、、店の子いわく、我々が帰れば、店を閉めるとのことなので、キム男もそこで諦めて帰ることだろう。



そして、その翌日、僕は、その後のキム男が取った驚愕の行動を知ることになるのであった。(後編へ
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