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タイの格闘技★裏事情
先日、僕の日本時代の知人が、某K-1選手のテレビ取材でタイに来ていて、簡単な現地アテンドをしたのだが、タイの格闘技・事情というものを、いろいろ直に見て感じ、感動するとともに、驚愕した。。そのときの話である・・・。

そもそも、僕は、サッカー好きだけど、格闘技関係には、あまり関心がないし、詳しくもない。ただ、日本では、亀田ブームを初め、一時代を築いたK-1、総合格闘技系の団体も多い。

その中でも人気のあったイベントPRIDEが、UFC(アメリカ最大の総合格闘技団体)に買収されたことなどなど・・考慮すると、格闘技がエンターティメント・コンテンツとして、かなりの地位まで来ていることは間違いない。(と思う)

だが、テレビの中だけじゃ、、リアル(真実)は見えてこない・・。で、実際の実力は、どーなのよ?と感じてしまうのが、僕の悪いクセなのだが、結局のところ、全くその通りだということが判明した。。(多分)

今、日本のK-1界で、タイ人最強戦士と言われている?ブ●カオ。訪れたジムに、彼を過去に教えたことがあるというトレーナー(タイ人おっさん)がいた。で、早速、「彼の実力は、どーなのよ?」と聞いてみた。と、トレーナー氏曰く、「あいつは日本に行って、もう終わった選手だ・・後は下り坂・・。」との返答。

その理由を聞くと、テレビ映像で見ただけでも体にハリがない、全盛期より動きが遅い・・などなど散々なことを、はっきりと物言うトレーナー氏。まじ??

でも、よくよく聞けば、あれぐらいの実力の選手なら、タイに山ほどいるというのである。ブ●カオ級なら山ほど。ブ●カオ以上もゴロゴロいる。というのである。さすがは、ムエタイの故郷。恐るべし、ムエタイ王国である。

では、なぜ、そんな最強戦士たちが、K-1やら総合にもっと参戦しないのか?答えは簡単!それは行けないからである。正確に言うと、日本に行きたいけど、そのチャンスがない。コネクションがないからである。

で、もっと突っ込んで言えば、本場のムエタイチャンピオンなど、実力マジ級の選手が出場したら、他に勝てる人がいなくなって、面白くなくなって、興行自体が成り立たなくなるからである。。結局は、大人のビジネスの話(作られた世界)というわけですな・・。むむっ・・・


では、なぜ、そんなに本場ムエタイ選手は強いのか?という話になってくるわけだが、数日間の滞在から、様々な理由を教えられることになった。


まず、タイ人における、ムエタイとは・・・一般生活に密着した国技であると言える。日本では、相撲が国技として有名だが、一般の人々の生活には、さほど密着した感はない。だが、タイの子供たちは、日本の子供がサッカークラブや、少年野球、空手教室に通うような感じでジムに通う。

夏休みになると、親が運動不足の子供に、短期のムエタイ教室に行かせたりもする。ちょっとした村祭り、、町のイベントで行われるムエタイの興行試合。賭け事大好き、タイ人のおっさん連中は、テレビに、即席試合にと熱中する。。タイにおけるムエタイは、国民全体に占める生活密着度、そして、競技人口の割合が、とてつもなく高いということは、まず間違いないわけである・・。

で、、そんな中でも、テレビを見て、実際に試合を生で目にして、「僕も(私も)ムエタイ選手になりたい。」という子供が出てくるのは、当然のことである・・・。そこにあるのは、スター性、そしてヒーロー性。日本の子供たちが、「イチロー選手のようになりたい」と思う気持ちと、同様のものである。

だが、それだけではない。。タイは、仏教の国。。
とりわけ、家族・親を大事で尊大なものとして、子供が教えられ育つ国である。ジムに通う、将来ムエタイ選手を夢見る子供たちに、その理由を聞くと、、「ポー・メー(お父さん・お母さん)に、家を建ててあげたい・・」とか、、「金を稼いで、家族の生活を安定させたい・・」とかいった涙ぐましい話が、当然のことのように、12、3歳の子供たちの口から、自然と流れ出てくるわけである。



チャン君(14歳)が、ムエタイを始めたのは、8歳のとき。
ジムの子供たちの中でも、1、2位を争う実力の持ち主である。彼は、チュンポン(タイ南部)の田舎から、親元を離れ~ジムでの住み込み生活を、この歳で、すでに6年も過ごしている。。ジム内にある、しなびれた4畳半ほどの部屋は、同郷から出てきた仲間たちとの5人雑居生活。

今は学校が休みなので、朝~ロードワーク・練習、そして昼寝、、午後~ロードワーク・練習といった一日みっちりムエタイ生活を、繰り返している。

ある日曜日、彼の試合を、見に行くことになった。
場所は、バンコク郊外、とあるショッピングセンター屋上の特設リングでだった。引率役は、子供専門のジムトレーナー氏。ピックアップ車の荷台に、10人近くの子供を乗せ、まるでピクニックでも行くような光景だ。現場に着くと、そこは無料会場。その町の人々が、余興を楽しみに、わんさかと満員よろしく、溢れかえっている。

試合前、、仲間の子供たちと、ふざけあったり、遊んだりして、子供の顔を見せるチャン君。出番が次の試合になったところで、ようやく準備開始するほどの余裕ぶりだが、、実は、彼は、この歳にして、すでに50戦以上の戦績をもっているのである。

試合は、チャン君の予告どおりの「得意のヒジ」での、相手顔面KO!!おそるべし、子供ムエタイ戦士。


ジムトレーナー氏に聞くと、、こういった試合は、毎週日曜日、必ずどこかしらかで行われているとのこと。で、こんなチャン君でさえも、まだまだ経験が足りないとのこと・・汗)。彼は、この後、100試合、200試合と経験を積むことになる。そして、いろんな興行試合や大会を重ね、立派な戦士へと育っていく。それから、ようやく、ラジャダムナンとか、ルンピニーといった権威ある会場への参加資格、名誉あるチャンピオンを、目指すことになるわけである。


また、こういった試合に参加するジム所属の子供たちには、早くも、ムエタイ選手証(ライセンス)なるものが発行されている。それぞれが所持する、この選手手帳には、自分の顔写真ほか、身長・体重、これまでの戦績など・・こと細かな情報が記載されている。

これは、いろんな興行試合に出る際の履歴書代わりとして、もちろん役に立つわけだが、、ちょっとした練習試合や、草試合のようなものに出る際にも、いろんなジムの選手、相手と現場で直接交渉し、、試合を組むときにも活用される。


そして、どんな試合でも、どんなときにでもいるのが、賭けを仕切るオッサンである。観戦する大人たち、そして、引率のトレーナー氏でさえ、ジムの子供たちの試合に、常に金を賭けている。もちろん、自分の所属ジムの子供が試合に負けたとなると、必然的にオッサンも賭けに負けたことになる。

で、(実際)その怒り方の理不尽さといったら、すさまじい・・汗)。。そして、興行を主催するスポンサーから出るファイトマネーのほか、、選手たちには賭けで勝った観戦者たちからの、おひねりも出ることになる・・。

究極の弱肉強食の世界ではあるが、子供戦士たちは、そんな大人の世界の事情(都合)さえも、十分承知しているのである・・。おそるべし、タイ人社会。。


タイの国技、ムエタイ。。その中でも、国が誇る最強と呼ばれる戦士たち。。


彼らは、その密なる競技人口の枠の中で、子供~大人になるまでの徹底した育成システムを経験する。そして、自分の夢だけでなく、田舎の親、家族の思い、生活・・。また、そこで狂喜する大人の賭け情事さえも一身に背負い、、狭きピラミッドの頂上へと上りつめた、鉄人たちなのである。。

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